全日本選手権〜憧れの舞台に足跡を刻む

2012年7月3日 寄稿

憧れの舞台に逗子ナインが足跡を刻んだ。

梅雨時とは思えぬ晴天となった6月30日、ザバス杯全日本リトルリーグ野球選手権大会が江戸川区球場で開幕した。地元中学生によるブラスバンド演奏で幕を開けた開会式で、初出場の逗子ナインはスタンドからの大声援を浴びて堂々と入場行進。開会挨拶の後には、上田南リーグ主将が素晴らしい選手宣誓を行い、全国リトルリーガーの頂点を目指す熱い戦いが始まった。

逗子リトルの第1試合は江戸川区球場から2キロ離れた臨海第2球場。相手は同じ初出場の姫路中央リーグ。
双方とも緊張して迎えた一戦だったが、いきなり初回に明暗が分かれた。後攻の逗子はエースが先発。ヒット1本を打たれるものの姫路打線を0点に抑えると、その裏、逗子リトル自慢の黒潮打線がいきなり真価を発揮。先頭打者四球のあと6年生2番がライト線へタイムリー三塁打を放ち先制。その後も打線がつながり、一挙3点を奪い試合の主導権を握った。さらに3回には満塁から再び2番がライトオーバーのエンタイトル二塁打で2点。続くA砲が左中間へ3ランを放ち計5点を追加した。A砲はさらに5回にも左中間へ2打席連続の特大ソロアーチ。姫路中央の2投手から9点を奪った。こうなると我らがエースは本領発揮。被安打2、11奪三振という快投で姫路中央打線を完封し、見事に初戦を突破した。

続く試合は仙台東リーグと広島佐伯リーグ。パンフレットを見ると、仙台東は全員が中1。シートノックの動きも抜群で、さすがに優勝候補の一角と思わせる。試合は仙台東の先発投手が全18奪三振の完全試合という信じられないパフォーマンス。広島佐伯の先発も負けず劣らずの投球で踏ん張り0-0で最終回に。広島佐伯の代わった投手が打たれて仙台東がサヨナラ勝ちを収めた。両チームの戦いはまさに全日本のレベルの高さを示した一戦だった。

そして2回戦。その仙台東リーグと対戦した逗子は、1回表、相手投手の制球の乱れをつき、A砲、I砲の連続タイムリーなどで一挙4点を先取。波に乗った黒潮打線が勢いを見せつける。その裏1点を失ったものの、3回、4回に1点ずつ追加。投げては左腕エースが5回途中で降板するまで16奪三振(振り逃げを含む)の快投をみせ、一時は6-1とリードを奪う。しかし4回裏に1点、5回裏にソロ本塁打などで3点を失い1点差にされると試合は仙台東ペースに。6回表の逗子の攻撃が三者凡退に終わると、その裏、ランナーを2人置いて2番バッターに右中間へサヨナラ2点二塁打を打たれゲームセット。世界への夢は絶たれてしまった。

それでも初出場で全国の8強は立派の一言。ティーボール時代から逗子リーグでお互いを磨きあった選手たちが、体格に勝る優勝候補の仙台東リーグをあと一歩のところまで追いつめる・・・まさに逗子リーグの夢が実現した一日だった。もちろん、夢は終わったわけではない。この舞台を経験した6年生や下級生たちにとって、全日本は「夢」ではなく「目標」となり、そして「江戸川区球場での試合」(全日本選手権ベスト4)、「世界選手権出場」という夢が残っている。

また、この日は開会式からマイナー、ジュニアの選手たちやスタッフ、保護者が勢ぞろい。逗子リーグ総出の応援となった。この大きな声援が戦う選手たちの後押しとなったことは間違いない。応援も含めて全国に「逗子リトルリーグ、ここにあり!」を示すことができ、リトルクラス応援副団長としては感謝の念が尽きない。

(文責)
競技委員
全日本選手権応援団副団長
中根英之